178. 革裁断をする人の話。その2
アンデルセンバッグ ANDERSENBAG
石山 祐一郎 Yuichiro Ishiyama
#革裁断をする人
前回の続きを書きます!
革の繊維について簡単にご説明させていただきます。革の繊維と言ってしまうと難しく聞こえますが人間の体をイメージするとわかりやすいと思います。
人間の体には柔らかい部分と硬い部分があります。例えば柔らかい部分とは人間で言うとお腹やお腹周辺部分になります。また硬い部分とは背中の部分になります。牛革も同じです。
柔らかいお腹の部分は革の繊維も柔らかく、革が伸びやすいです。硬い背中の部分は革の繊維も硬く伸びにくいのが特徴です。
「このパーツがバッグのどの部分になるのか?」
前回のブログの冒頭にも書きました上記の部分をイメージしながら革裁断をする事がとても重要になってきます。そこにはやはり経験が必要になってきます。
一つ例をあげますね。例えば皆さんがお使いのバッグのハンドル(持ち手)部分がありますが柔らかいお腹の部分の革と硬い背中部分の革、どちらがハンドル部に適しているでしょうか?
検証していきましょう!
まず柔らかいお腹の部分の革をハンドル部分のパーツとして裁断したらどうなるでしょうか?お腹の部分は柔らかい部分なので革の繊維がとても伸びやすいです。ハンドル部分に使用したら間違いなく革が伸びてしまいます。
ましてやハンドル(持ち手)はたいがい前側と背側と2本に分かれています。前側が柔らかい革、背側が硬い革などで革の繊維をチグハグな部分でセットをしてバッグを作った場合はどうなるでしょうか?間違い無く前側の柔らかい革のみが伸びてしまい前後のハンドルの高さも変わると思います。ハンドル部には柔らかいお腹の部分の革は適していません。✖️です。
一方、硬い背中の部分の革でハンドル部分のパーツを裁断したらどうなるでしょうか?革の繊維が詰まっていてしっかりしているので強度も強いので、一見ハンドル部分に適しているようですが実は適しておりません✖️です。ハンドル部分をイメージしていただくとわかりやすいのですが、ハンドル部分はUの字のように丸く曲げます。曲げた時に革の繊維が硬すぎて融通が効かなくなり逃げ場がなくなってしまいます。どのような状態になるのか?意外によく見かけますがハンドルの下側がデコボコになっているのを見かけた事はありませんか?あれは革が硬い為に革が伸びない状態です。伸びないのに無理に曲げるので下側がデコボコ、またはシワシワになります。
柔らかいお腹の部分は✖️。
硬い背中の部分も✖️です。
ひっかけ問題のようになってしまいましたが、正解は背側からお腹側の方にに向かって裁断をするが◯です。革には繊維によって伸びる方向と伸びない方向があります。背側からお腹側の方向は伸びる方向になります。
曲げたいパーツや丸く作りたいパーツなどは革の伸びる方向を計算して曲げたい方向や丸るくする方向に型をあてて裁断します。
逆に平にピンと真っ直ぐに作りたいパーツや強度が必要なパーツなどは革の伸びない方向を計算に入れて伸びない方向で型をあてて裁断します。
「このパーツがバッグのどの部分になるのか?」
常に頭に入れながら、革の傷をよけて完成形をイメージしながら型をあてて革を裁つのが裁断というお仕事です。いくら作る職人が名人クラスの職人であっても革の裁断が伸びる方向、伸びない方向を完全無視して、効率や利益優先で裁断された革であったら決して美しいフォルムのバッグは生まれません。
革バッグにおける革はそれが全てと言っていいくらいなモノです。革製品を生かすも殺すも革裁断に全てかかっています。地味ではありますが本当に重要仕事になります。
革裁断が終わらなければ、バッグ作りは何も始まりません。革裁断を担当する人に感謝です!
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