312. 革漉きをする人の話。
アンデルセンバッグ ANDERSENBAG
石山 祐一郎 Yuichiro Ishiyama
革漉き(かわすきと読みます。)をする人のお仕事は、厚みのある革を薄くする事です。
一般の方にはこの革漉きという作業はとてもわかりづらい作業だと思いますので簡単にご説明をいたします。例えばA4サイズの革をご用意します。通常革は厚いモノで2mmぐらいの厚みがあります。この2mmの革を折目をつけてキレイに二つ折りにすることは革が厚いのでなかなか出来ませんが、この革を半分の1mmぐらいの薄さにすればキレイな二つ折りにすることが出来ます。この作業を革漉きといいます。
この革漉きはモノ作りにおいて本当に重要です。例えば同じ革で同じカタチのバッグでも革の漉き方によってまったく別の商品に見えるくらい違う仕上がりになります。革を薄くすればとてもシャープな感じのモダンな見せ方が出来ます。一方革を厚いまま仕上げるとちょっと野暮たくなり手作り感が強くなる感じがします。まったく別の商品のような印象になります。また難しい事に革の強度は薄くすれば弱くなり、厚くすれば強度は高くなります。さらに背中の方の革の繊維が硬いところやお腹の方の革の繊維が柔らかいところなど革は様々です。その革を経験と感性により、革を漉く人が一枚一枚の革の硬さや繊維に合わせて革を漉いていくという作業になります。
余談になりますが、腕のいい革漉き職人が革を漉くと1万円札を薄く漉いて2枚にして2万円にするというネタのような話を昔聞いた事があります(笑)。実際には見たことはありませんが…。当然薄くなればなるほど高い技術と経験と感性を必要とします。作業を見ていると簡単そうなんですが、実際は奥がめちゃくちゃ深い作業です。
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